美容師の勤務時間は1日10時間以上?自分に合った美容室の選び方

美容師の勤務時間は、比較的長くなりやすいものです。営業時間外に片付けをしたり、スタイリングの練習をしたりと日々残業している方も珍しくありません。また、休憩や休日もあまりなく、プライベートを楽しむ余裕がないと感じることもあります。
そこで本記事では、美容師の労働時間について解説します。自分に合った勤務時間で働く方法も紹介しているので、現状に不満を感じている方はぜひ最後まで読んで参考にしてみてください。
労働基準法で見る美容師の勤務時間とは?

労働基準法とは、労働条件の最低基準を定めた法律のことです。雇用者は労働者の生活を保障する役割があり、勤務時間や残業時間、休日などについて、以下のような法定ルールが決められています。
- 労働時間:労働者の労働時間は1日8時間、週40時間を上限にすること。労働者の人数が10人未満の場合、1週間の労働時間は44時間までに緩和される。
- 残業時間:労働者の労働時間が1日8時間を超えた場合は、時間外勤務となるため残業代が発生する。時間外勤務の上限は原則、月45時間・年360時間までと定められている。
- 休憩時間:労働者の勤務が1日6時間を超える場合は、最低45分の休憩を取ること。1日の労働時間が8時間を超える場合は、1時間以上の休憩を取ること。
- 休日:最低1週間に1日、または4週間に4日以上の休日を与えること。
- 有給休暇:労働者が6カ月以上勤務し、なおかつ全労働日数の8割以上出勤した場合は10日間の有給休暇を与えること。
美容師を雇うサロン経営者は、これらの労働基準法を遵守しなければいけません。長時間勤務が常習化し、勤務に関するトラブルが発生しないように注意する必要があります。
出典:労働基準法 | e-Gov法令検索
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美容師の実際の勤務時間とは?

美容師の実際の勤務時間は、1日10時間以上となることも多いです。美容室の一般的な営業時間は午前10時から午後8時までが多く、オープン前の開店準備やミーティングから、閉店後の片付けや掃除まで行う必要があるため、拘束時間がどうしても長くなってしまいます。
なお、出勤時刻や準備などに費やす時間はお店の規模や形態によっても異なるため、あくまでも目安として考えてください。
美容師の実際の休憩時間とは?

美容師は、まとまった休憩時間を確保できないような日もあります。例えば予約が詰まってしまっている場合、パーマやカラーの待ち時間中にお昼休憩を取る美容室も珍しくありません。中には、1時間の休憩を30分×2回に分けているところもあります。特に指名客を多く持つ美容師は、開店から閉店まで予約が埋まっていることもあり、なかなか休憩時間を確保できない方もいます。
美容師の実際の残業時間とは?

美容師は、残業時間が長くなりがちな職業です。なぜなら、美容師は日々練習が必要な技術職であり、新たな技術の修得を営業時間外に行うことが多いからです。特にアシスタントからスタイリストにステップアップするためには、日々の練習が欠かせません。練習できる時間帯はお店の方針や環境によって異なるものの、開店前の早朝練習で約1時間、閉店後の夜練習で1~2時間ほどの時間を設けているところが多いでしょう。
また練習だけではなく、コンテストやショーに参加したり、カットモデルを呼んで実技を行ったりと、実務以外のイベントに参加することもあります。
残業とサービス残業の違い
ここで注意すべき点は、労働時間外に活動したからといって、すべてが残業に含まれないことです。営業時間外に行う練習は、労働ではなく自主的な活動として判断されるケースも珍しくありません。美容師個人の気持ちとしては、報酬を受け取れない点に対して「サービス残業をした」と感じてしまうこともあるでしょう。
実際のところ、通常の残業と報酬の支払われない活動(いわゆるサービス残業)の違いは、以下のとおりです。
- 残業:雇用主に労働時間外の勤務を指示された場合
- 報酬の支払われない活動:労働者が自主的に労働時間外に活動した場合
例えば、閉店後に雇用主の指示を受けてスタイリングの練習をした場合は、残業代が発生します。しかし「コンテストが近いから」「少しでも早くスタイリストデビューしたいから」などの理由で自主的に居残り練習をした場合は、いわゆるサービス残業となります。
ただし近年では労働環境の改善を重視する動きが見られ、営業時間外に自主的な練習をさせない美容室も増えてきました。そういった美容室では、代わりに営業時間内の空いた時間に練習できる体制を整えているため、報酬を受け取りながら技術を習得できる体制になっています。
美容師の実際の休日日数とは?

美容師の休日日数は、1カ月6~7日が平均です。完全週休2日を導入している美容室が増えてきたものの、まだまだ隔週で週休2日のところが多い傾向です。なお、美容師にも有給休暇が与えられますが、完全消化できる環境が整っていないところがほとんどでしょう。
有給休暇は勤務年数が長くなるにつれて増えますが、その分責任も大きくなるため、気軽に利用できない一面があります。休みは「務めている美容室が閉まっているときだけ」という美容師の方も多いでしょう。
自分に合った勤務時間で働ける美容室の選び方

お店の労働環境はなかなか改善されにくいため、ブラック気質な美容室で勤務している場合は転職を視野に入れるのがおすすめです。自分に合った勤務時間で働ける美容室を選ぶ方法は、以下のとおりです。
- 募集要項を比較する
- 業務委託で働ける美容室を探す
- 美容師免許を活かせる他業種で働く
それぞれの方法をチェックしましょう。
募集要項を比較する
自分の働き方に合った美容室を見つけるためには、募集要項に記載されている内容をよく比較しましょう。募集要項には、以下のような内容が記載されています。
- 給与
- 社会保険の有無
- 勤務時間や休日(夏季休暇制度など)
- 残業時間
将来育休や産休の取得を考えている方は、今後の働き方も視野に入れて内容を比較しておきましょう。福利厚生は美容室によってまちまちなので、事前にチェックしておく必要があります。
また美容室によっては、スキルアップに欠かせない研修制度が充実しているところも存在します。当然ながら、交通費の支給や賞与の有無なども併せて確認しておきましょう。
業務委託で働ける美容室を探す
自分に合った勤務時間で働きたい場合は、業務委託で働ける美容室を探すのも一つの方法です。業務委託とは、雇用契約を結んでいない企業から仕事を委託される働き方です。美容室で働く場合は、完全歩合制で自分の売上の数%を報酬として受け取るパターンが多いです。
業務委託として勤務すれば自分の好きな時間に働くことができる他、自由に休みを設定できるため、自由度の高い働き方を実現できます。プライベートも充実させながら、美容師として活躍することも可能でしょう。
とは言え業務委託で働くには高い技術力を身につけたり、ネットワークを築く力を構築したりしなければいけません。自分の持つ力を雇用主に売り込むことで、仕事を獲得できるからです。業務委託は、美容師としてすでに実力をつけた方におすすめの働き方と言えるでしょう。
パート雇用をしている美容室を探す
自分に合った働き方を実現したいのであれば、パート雇用をしている美容室を探しましょう。パート雇用だと正社員よりも働く時間が短いため、日中の時間が確保しやすくなります。例えば、育児や家事、介護の合間に働きたいといった希望も叶えられるでしょう。休日も取りやすいため、無理なく勤務できます。
特に、美容室が忙しくなる成人式や年末などに働ける方であれば、働き口も見つかりやすくなるでしょう。美容室としては短時間勤務のパートスタッフが居ることで昼休憩を回しやすくなるため、雇用側にもメリットが生まれます。
美容師免許を生かせる他業種で働く
自分に合った働き方を実現したい場合、美容室にこだわる必要はありません。美容師免許を持っていればさまざまな仕事に挑戦できるため、視野を広げてみるのもいいでしょう。例えば、以下のような職種がおすすめです。
◆カラーリスト
カラーリストとは、ヘアカラーを専門に扱う職業です。色彩やカラーリングに関する深い知識が必要とされるため「ヘアカラーを専門の勉強したい」とお考えの方におすすめです。
◆アイリスト
アイリストとは、まつエクやまつ毛パーマなどを専門に行う職業です。お客さまのまつ毛を施術するには、美容師の免許が必要になります。なお、美容師からアイリストになるためには、専門のスクールに通いながら技術を習得するのが一般的です。未経験から採用してくれるサロンもあるため、募集要項の条件を確認してみましょう。
◆ネイリスト
ネイリストとは、指先をきれいにする専門職のことです。爪の形を整えたり、ネイルケアを施したりします。美容師とは異なった技術を習得する必要があるため、根気強さや芸術的なセンスが求められるでしょう。ネイリストとして働くためには、資格を取得するのが一般的です。資格の勉強を通じて、ネイリストに欠かせない技術を身につけます。
まとめ

美容師の勤務時間は比較的長く、休みもあまり多くありません。完全週休2日を取り入れている美容室は少なく「休みが足りない」と感じることもあるでしょう。また、業務時間外に自主的に活動しても報酬は支払われないため、いつの間にか義務のようになってしまった練習時間を「サービス残業」と感じることもあるかもしれません。
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