稼げる美容師になるには?給料・昇給・賞与・歩合について徹底解説
- 美容師
美容師は、美容業界の中でも「圧倒的な給料の安さ」と「離職率の高さ」で知られている職業です。
今回はより「稼げる」美容師になるために、実際の平均給与を把握し、給与アップにはどんな方法があるのかを徹底解説します。
なぜ安い!?美容師の給料、その理由は?
いつの時代も若い世代の憧れの職業『美容師』。
しかしその華やかな職業イメージとは裏腹に、勤務実態はかなり過酷なものです。
長い労働時間に加え、技術の習得にはかなり厳しい練習が必要とされます。
サロン内のテストに合格するまでは、毎日練習に追われて自分の時間を取ることもままならない日々が続きます。
その練習の苦しさから、入社後1年~3年の間の「アシスタント期間」の離職率は、50%以上という高い数値となっています。
美容師という仕事に大きな夢を持って就業してみたものの、半数以上の方が「仕事のハードさ」と「給料の安さ」に夢破れて去っていくというのが悲しい現状です。
民間企業で働く人の平均年収よりも、美容師の平均年収は「100万円以上少ない」という事実をご存知ですか?
まずは国税庁から発表されているデータ「平成30年分民間給与実態統計調査結果」から、民間企業の給与支給額の平均を見てみましょう。
- 全体:441万円
- 男性:545万円
- 女性:293万円
- 賞与(全体):70万円
上記のデータと比べて、美容師の平均年収はこうなっています。
- 全体:246万円
- 男性:275万円
- 女性:230万円
- 賞与(全体):7万円
上記平均を比べてみると、民間企業と美容師の収入には大きな差があるのがわかります。
全体の年収として100万円以上差があるのも驚きですが、やはり大きく民間と差がついている要因は、美容師の「賞与」の支給額の低さです。
美容業界ではまだまだ賞与の支給がある会社は少なく、支給額も寸志程度というところがほとんど。
これから美容師として働いていく上で「賞与も欲しい」というご希望のある方は、まずはサロンに応募する前に、しっかりとサロンの給与体系の中に賞与支給があるかどうかを確認しましょう。
「美容師の平均年収」が他の民間企業の平均年収と比べてかなり低い水準となる理由は、以下の3点が挙げられます。
「アシスタントの給料の低さ」が美容師全体の平均値を下げている!
美容師として初めてサロンに勤務した場合、まずは「アシスタント」というランクからスタートします。
業務内容はサロンの雑務・シャンプー等が当てはまり、主に先輩スタッフのフォローがメインとなります。
アシスタントの給与は、平均して月収10万円台前半から17万円前後。
特に、都心部の人気サロンほど給与が低く抑えられている傾向にあります。
アシスタントとして勤務し始めたスタッフの中には、その安い給料だけではとても生活できず、かけもちでアルバイトをしながら生活費を稼がなければならないという現状を強いられている方も・・・
そのような生活を続けていると、やがて生活費を稼ぐことだけで疲弊してしまいます。
- ストレスや過労による就業意欲の減退
- 体調不良や、精神的疾患の発症
これらを招き、退職を余儀なくされることも現実としてあります。

そういった気持ちもとてもよく分かります。
しかし、まずは自分の生活が破綻しないために「最低限これぐらい稼げなければ暮らしていけない」金額をしっかりと定めて就業先を選ぶことが大切です。
年収が高くなってくる年代の離職率&独立率が高い!
結婚して家庭を持つことを意識し始める年代とも言える「30歳男性美容師」の平均年収は、額面にして約339万円。
+
95.200円(年間賞与やその他特別支給含む)
この金額から保険や年金などを差し引き、実際にもらえる給与に換算すると手取りにして月に約20万円台前半~25万円程度となります。
結婚当初は共働きで夫婦2人分の給与を合算して生活していくことが可能でも、子どもが生まれれば女性は育児のために仕事を中断しなくてはならない期間がやってきます。
この時、男性美容師は、1人の収入で家族を養うということに不安を持ち「転職」または「独立開業」という選択をする方が多くいらっしゃいます。
このように、働き盛りの年代の男性の離職率が高いという理由も美容師の平均年収を下げている大きな一因です。
独立して成功した「稼いでいるサロンオーナー」の数値は入っていない!
ここまで読んできて、

と思った方、ちょっと待ってください!
政府統計調査による「美容・理容師の平均年収」の概算の中には、独立開業した方の給与は含まれていません。
平均年収200万円台後半というのは、あくまでもサロンに勤務しているスタッフのみの平均値です。
サロンから独立して、新たに自分のサロンを立ち上げ多数の店舗を展開しているサロンオーナーの中には、軽く年収1000万円を超えている方もいらっしゃいます。
また、独立はせず店舗に在籍はしているものの有名サロンのトップスタイリストとして指名や歩合で高収入を得ている方も、確かにいらっしゃいます。
ですから、決して低い収入しか望めない「夢の無い業界」ではないのです。
昨今では美容室「オーシャントーキョー(OCEAN TOKYO)」を経営する高木琢也さんが執筆した本がベストセラーに入るなど、その技術力もさることながら「インフルエンサー」としても注目を集め、高収入を得ている方もいらっしゃいます。
どんなに今成功している方でも、スタートは同じ「カッコいい美容師になりたい!」と夢見るところから始まったのです。
最初から才能があって難なくトップに昇りつめたように見える人も、最初のアシスタント時代は安いお給料で、モデル探しに苦労したり薬剤の手荒れに耐えながら頑張り抜いて成長してきたのです。
この極めて離職率の高い「美容師」という業界において、まず大切なのは「とにかく勤務を続けて経験を積む」ということ。
さらにそこから練習に練習を重ねて人より努力した人だけが、「飛びぬけた成功を勝ち取ることができる」のです。
今、つらいのはあなただけではありません。
その「頑張り」には「未来」があります。
ただ、その未来に「希望」が持てなくなってきた時は、転職の考え時かもしれません。
サロンdeジョブへの会員登録はこちら★
美容師の求人情報をチェック!
アシスタントの給料について
前述の項目で「アシスタントの給料の低さ」には触れましたが、改めてその平均給与とその内訳をご紹介します。
アシスタントの給与:平均して月収10万円台前半から17万円前後
給与内訳としては、「固定給+固定残業代+交通費(支給のあるところ)」と、月の売り上げによる増減とは関係なく、一定の金額を支給される所が多いようです。
どんなに残業しても、休憩時間を削って接客をしても、それらの余剰分はお給料に反映されず、残業代は固定のまま…。
勤務時間が長くても給料アップにならないなんて、ガッカリしてしまいますよね。
悲しいことですが、現状ではこういったシステムのサロンが大半を占めています。
その理由としては、「アシスタントのうちは直接売り上げにつながる仕事もしておらず、お店の戦力として数えられない」から、というのがサロン側の言い分です。
「いくら頑張ってもアシスタント時代はお給料が上がらない」というのが、アシスタントの給料の低さをさらに「つらく感じさせる」要因となっています。
アシスタントからスタイリストになるまでの期間はどのくらい?
新人美容師としてサロンに入社した場合、多くのサロンではランク制度という段階を踏んでステップアップしていきます。
まず最初のランクは、「アシスタント」。
期間はサロンによって異なりますが、約1年~3年程度です。
ランクが上がり技術を習得していくごとに給与も上がっていきます。
ランクには「Jr.スタイリスト」・「スタイリスト」・「トップスタイリスト」などがあり、サロンによってその呼称は多岐に渡ります。
アシスタントでも昇給や賞与はあるの?
前項でもご説明しましたが、アシスタント期間中はお客様からの指名料や歩合で稼ぐことができないため、給料は固定給のままほとんど上がりません。
賞与の支給があるサロンもほとんどありません。
あってもほんのわずかな寸志程度と思っておいた方がいいでしょう。

サロンによっては、
- 練習用のウィッグや道具類などを自腹で購入しなければならない
- 講習費用も全額自分で支払う必要がある
というところもあるため、就業前にはどれぐらいの経費を負担しなければならないのかもしっかりと聞いておく必要があります。
アシスタントとは言え、お客様の前に立ってしまえば「美容師」というステータスを持った「お店の顔」です。
職業柄、オシャレや身だしなみに気を配るのは必須。
生活が苦しいからと言っても、最低限の身だしなみを整える費用も捻出しておかなくてはなりません。
スタイリストの給料は安いってホント?
サロンによっても大きく差がありますが、
- 固定給
- そこにプラスして歩合(お客様一人当たりの施術で得られる、割合に応じた報酬)
- インセンティブ(月の総売上が達成したことによって得られる報酬)
- 各種手当
主な歩合や手当は下記のような支給がされることが一般的です。
- 【歩合】:施術歩合、指名歩合、店販歩合
- 【手当】:住宅手当、育児手当、役職手当、皆勤手当
加算される歩合率はサロンによって大きく異なりますが、大体売り上げの3%~30%です。
このように、歩合率によって大きく給与に差が出ますので、サロンごとにどういう給与体系を取っているのかは事前に確認しておく必要があります。
また歩合が高いサロンとはいっても、「一定のノルマを達成しなければそもそも歩合が発生しない」など、最初にクリアするべきノルマがあるというシステムを取っているサロンもあります。
いたずらに歩合の高さにだけ釣られて「高水準な給与のサロン」と判断するのは早計です。
一般的に言って、下記のようなサロンだと全体の収益から人件費に割ける割合が低いため、美容師の給料も低く抑えられる傾向があります。
- 客単価が低い
- 宣伝費を高くかけている
- 固定費(店舗のテナント料・器具のリース料)が収益を圧迫している
どこの美容室でもサロンの支出で一番のウェイトを占めるのが人件費。
なるべくなら「集客できる少数精鋭のスタイリスト」をスタッフに揃え、人件費を抑えたいというのが経営者の本音のところです。
「今の給料、最低賃金下回ってない?」と不安になった時の算出方法
令和元年10月1日より最低賃金が改訂され、全国的に賃金の上昇がみられました。
東京・神奈川では1,000円を超えてきており、雇われる方として賃金アップは朗報ではあるのですが、ただでさえ賃金の安い美容業界にとって、今以上の人件費アップを強いられるのは店舗存続に大きな影響をもたらすのではないかと言われています。

と、ご自分の給料を思っている方は、以下の計算方法で確認されることをお勧めします。
まずは全国の主だった地域のをご紹介します。
- 北海道:960円
- 東京:1,113円
- 神奈川:1,112円
- 千葉:1,026円
- 埼玉:1,028円
- 愛知:1,027円
- 大阪:1,064円
- 広島:970円
- 福岡:941円
- 沖縄:896円
給与が時給換算で支払われている場合は、上記の最低賃金を下回っていないか確認してください。
また給与が月給で支払われている場合は、
「月給」を「1ヶ月の平均所定労働時間」で割った金額が、最低賃金と同額か超えていなくてはなりません。
※平均所定労働時間は、1日の所定労働時間と年間所定休日数から計算できます。
- 365日-年間所定休日数
(年間に実際「何日」働いているかを算出) - その実働日数×1日の所定労働時間数
(1年間に実際「何時間」働いているかを算出) - 「2」の1年間総実働時間数を÷12か月
(1ヶ月の平均所定労働時間を算出)
整理するとこのような公式となります。
(365日-年間所定休日数)×一日の所定労働時間数÷12か月=1ヶ月の平均所定労働時間
東京都の場合、最低賃金は1,013円です。
あなたに支払われている月給が、上記で算出した1ヶ月の平均所定労働時間×1,013円と同額かそれ以上の金額でないと、最低賃金を下回っているということになります。
自分のもらっている給与の支給額に不安のある方は、一度確認されることをお勧めします。
給料をあげるには
美容師としてキャリアを形成し、高収入を得ていく方法としてはどのようなものがあるのでしょうか。
まず美容師の給料について大方のサロンでは、「固定給が低く抑えられている」「サロンへのリピーターを増加させるため指名客からの歩合率を高く設定している」という特徴があります。
そのため、給料を増やすには「自分の指名客・固定ファン」を増やし「歩合でいかに稼ぐか」という点が大事になってきます。
給料を上げる具体的な解決策は、「長く一つの店舗で勤務を続けて役職に就き、役職手当によって給与アップを図る」ということももちろん収入アップの方法としてあります。
他には、「キャリアを積み、転職によってより高待遇のサロンに居場所を替えながら、新規の顧客を獲得していく」「自分の顧客を増やし、独立しても経営していけるだけの収入を得る自信がついたら、開業してオーナーになる」というように、転職や独立よりも飛躍的な高収入を目指す上で有効な方法もあると言えます。
店長になると(店長の平均給与)
給料upの方法として、店長になるなど「役職手当」によって稼ぐと上記でもご紹介しましたが、それでは店長の平均給与とは一体いくらなのでしょうか?
店長の給与は、サロンの売上によってもちろん上下してしまうものですが、大方のサロンでは「店長手当」という役職手当を設け、しっかりと固定給に組み込んでいるサロンが多いです。
店長になると、実際のお客様の施術よりも店舗やスタッフのマネージメント業務が多くのウェイトを占め、デスクワークなどもこなさなければなりません。
接客オンリーで毎月の収入のアップダウンが大きいスタイリストよりも、月々安定した給与を目指したい方、マネージメントに興味のある方は、店長など役職を目指すのも良い方法です。
独立のメリット・デメリット
それでは独立した時の収入はどれくらいなのでしょうか?
このような概算では全く身もふたもないのですが、独立するということは、それほど「失敗する可能性」も「成功する可能性」もどちらも大きくあるというのが実情です。
皆さんも、ふと通りかかって覗いた美容室で「スタッフはたくさんいるのにお客様は一人もいない」というシーンをよく見るのではないでしょうか?
美容室の数は増加の一途をたどり過当競争を繰り返している中で、リピーターが取れていつも繁盛しているという美容室はとても少ないです。
たとえお客様のご来店がなくても、人件費、テナント料、宣伝広告費、水道光熱費はかかってきます。
オーナーの給料は、店全体の収益から全ての経費を差し引いた最後の取り分になりますので、まずは店舗の売り上げが黒字にならなければ給料は出ません。
独立して成功し、多数店舗を経営するオーナーとなれば2,000万円近い年収を稼ぎだす方もいらっしゃいますが、収益が伸び悩み廃業する店舗ももちろんあります。
独立開業をする前に自分のスキルを磨くことは大前提ですが、収益が出せる店舗経営ができるかどうか、しっかりと事前に精査することが大切です。
独立開業という選択の前に業務委託や面貸しという働き方
美容師として大きく収入を上げるには「独立開業」をするというのが第一の方法ではあります。
しかし、いきなり「独立開業」をして倒産するリスクを背負うよりは、まず「業務委託」や「面貸し」で腕試しをしてみるというのもお勧めです。
メリットとしては、自分で店を構えて器具などを一から用意する経費の負担がないということ。
また、実力さえあれば身一つで稼げるというところです。
ただし、業務委託も面貸しも「個人事業主」という立場になりますので、雇用されていた時に企業が代わりに行ってくれていた「税金や保険の手続き」は自分で行わなければならないという大変さは覚悟しなくてはなりません。
業務委託と面貸しには明確な違いがあります。
美容室側が集客したお客様を美容室の料金設定に従って施術をし、その売上の何割かを報酬として受け取ります。利益の還元率は平均して施術料金の40~50%です。
業務委託と大きく違うのは、サロンが集客したフリーのお客様は入客せず、あくまでも自分の顧客しか施術しないということです。
施術料金の設定も、サロンの価格表とは関係なく「自分の設定した料金」で行うことができますので、自分の納得のいく収益を得ることができます。
ただし、全ての集客を自分の力でしなければならないので、集客ができなければ収入を得ることができないというのがデメリットです。(例外的なサロンもあります)
利益の還元率は平均して施術料金の60%と、業務委託よりも高い還元率となっています。
「面貸し」で働いた場合、店舗に支払う金額は3つのパターンがあります。
- 1時間当たりで料金を支払う時間制
- 売上の何割かをサロンに支払う完全歩合制
- 月額固定料金で1面を借りる固定額制
まず、独立前に「どれだけ自分の力で集客できるのか」自分の腕を試してみたい方にはおすすめの働き方です。
まとめ
『美容師』その仕事はシビアで、体力的にも精神的にもつらい側面もあります。
- お客様にご満足いただけるヘアスタイルをご提供できた時の喜び
- キレイになったお客様に感謝の言葉をいただいた時のやりがい
これらは、他の何にも代えがたいものです。
改めて、美容師という職業はやりがいのある素晴らしいものですが、美容師として成功するまでの道のりには思っていた以上の苦労があります。
1人でも多くの美容師が、その苦労を乗り越えられるように、弊社サロンdeジョブがお手伝いできることがあります!
=> 美容師の求人を覗いてみる
弊社サロンdeジョブは、転職を考えている求職者のお悩みを聞いて、一緒に理想のサロンを見つけるお手伝いをしています。
求人情報だけでは分からないサロンの特徴や、非公開求人のご紹介なども出来ますよ♪
転職のプロが揃っていますので、お気軽にご相談ください。
先にお伝えした転職の際のポイントを踏まえて、よりあなたが有利に転職できるように相談に乗ったり、サロン側との交渉を行っています。
美容業界の多くの求職者を次のサロンに導いてきたノウハウや実績があるので、転職に不安がある方は是非一度ご相談ください。
あなたに合ったサロンに転職して、新しい美容師ライフをスタートさせましょう!