美容師独立後の年収相場は?独立前に知りたい成功に導くポイント!
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収入アップを目指し「将来、独立したい」と考えている美容師も多いことでしょう。そこで気になるのがオーナーの年収です。
サロンを経営する場合、売上がそのままオーナーの収入になるわけではありません。家賃や材料費、人件費などさまざまな出費があるからです。
当記事では、オーナーになればどのくらいの収入が見込めるのかをシミュレーションします。また、サロン勤務の平均年収を超えるにはどのくらいの売上を作る必要があるのか、開業準備ではどこにお金がかかるのか、今からどのような準備ができるのかなども詳しく説明します。
独立を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。
サロン勤務での平均年収は345.6万円
厚生労働省が令和3年に行った賃金構造基本統計調査によると、サロン勤務をしている美容師の平均年収は345.6万円(※1)です。
経験年数別に平均を分けてみると、1〜5年で228.8万円、5〜15年で346.3万円、15年以上で442万円(※2)となっています。勤務年数が長くなるごとに年収はやや上がっている状況ですが、たとえ長く勤めても年収が500万円以上になるのは難しいでしょう。
そのため、年収アップを目指して独立を検討する美容師が多いようです。
出典:厚生労働省「職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)/令和3年度分」
出典:厚生労働省「職種(小分類)、性、年齢階級別所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)/令和3年度分」
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独立にかかる費用は大きく分けて5つ
独立時には、必要な機材や備品を揃えたりオープン前から広告を打ったりするためにまとまった資金が必要です。では、具体的にどのような資金が必要なのか、順番に見ていきましょう。
店舗取得費用
店舗を持つためには物件が不可欠ですが、物件の種類や立地などにより費用がかなり変動します。
物件の種類は、大きく分けてスケルトン物件と居抜き物件の2つです。サロンの居抜き物件であれば、前の使用者の設備や家具などが残っています。ある程度活用できるものも残っている可能性が高いため、内装や設備導入の費用が抑えられるケースもあるでしょう。
一方でスケルトン物件の場合は、内装や家具などが一切ありません。使い勝手の良さやサロンのコンセプトを考慮して好きなように内装を変えられる点は大きなメリットですが、居抜きと比べると初期設備を整えるための費用が高くなります。また賃料だけでなく敷金や礼金、管理費なども考慮しなければなりません。
内装・インテリア費用
たとえ居抜き物件であっても、以前の使用者と同じコンセプトで開業するとは限りません。不用品の撤去や取り替えなければならいものもあるでしょう。物件の種類を問わず、自分の理想のサロンにするためには少なからず内装やインテリアの準備費用が必要です。
美容機器・備品費用
施術のためにはさまざまな設備が必要です。ミラーやスタイリングチェア、シャンプーユニットといった大きな設備はもちろん、ドライヤーやワゴン、レジといった施術には直接的に関係のない細かな物もあります。
設備や美容機器の相場は下記のとおりです。
・スタイリングチェア(1台):3万〜6万程度
・シャンプーユニット(チェアとシャンプーボウルの1セット):20万〜40万程度
・デジタルパーマ機器(1台):10万〜30万程度
・ヘアスチーマー(1台):50万〜70万程度
中古品になれば数万〜10万程度値段が変わってくるため、少しでも費用を抑えたい場合は中古品を買うのも手段の一つです。
パーマ剤などの材料費
機材だけでなく、消耗品も欠かせません。お客様の多様なご要望に応えるためにも、パーマ剤やカラー剤はひととおりそろえておきましょう。その他にも、タオルやケープ、イヤーキャップなど施術にあたって必要な小物も購入しておく必要があります。
広告宣伝費
サロン内の準備が万全でも、お客様が来てくれなければ意味がありません。立地や来て欲しいターゲット層に合わせた宣伝を検討しましょう。
SNSやGoogleマップへの登録など、原則無料でできる集客方法もありますが、どれだけ反響があるかは予測が難しいです。オープン直後から活気を生むためには、インターネット広告やポスティングチラシなど、ある程度の反響が見込める有料広告を出すのもおすすめです。サロンを軌道に乗せるためにも、多少の広告宣伝費は用意しておいた方が良いでしょう。
半年分の運転資金も確保しておくと安心
いざ開業しても、ギリギリの資金しかなければスムーズに資金繰りができません。また、近年はキャッシュレス化によって、売上金が手元に入るまでに時間がかかる場合もあります。急な出費があったり、思うように客足が伸びなかったりしたときに手元の資金を心配しないで済むよう、半年分ほどの運転資金をすぐに使える状態で確保してあると安心です。
独立後の年収シミュレーション
独立する年齢は、28歳〜30歳が多いと言われています。しかし開業後、数年以内に経営不振で倒産や廃業となるケースも少なくありません。
サロン経営にかかるコストは、一般的に人件費35%、材料費10%、家賃10%、販促費10%、その他の雑費15%と言われています。つまり、売上高の80%は経費になり、オーナーの収入になるのは20%前後です。
オーナーだけでサロンを経営する場合は人件費がかからないため、人件費の35%も手元に残るようになります。例えば売上が100万円の場合、オーナー1人のみで営業していれば55万円、従業員を雇う場合は20万円が収入に充てられる計算です。
もちろんこの数字は雇う従業員の人数によっても変動するので、あくまでも参考と考え、自分の計画の場合はどうなるか実際に計算してみる必要があります。どのくらいの収入を得たいのか、どのような規模のサロンを運営したいのかを開業前から綿密にイメージし、開業後の目標を設定しましょう。
年収350万円以上を目指すための条件
記事の冒頭でもお伝えしたとおり、サロン勤務の美容師の平均年収は345.6万円です。独立後の年収でこの平均額を超えるには、月の収入は29.1万円を超える必要があります。
先ほどの計算式にあてはめて、オーナーだけで目指す場合と従業員を雇う場合のそれぞれのケースでどのくらいの売上が必要なのかを考えてみましょう。
オーナーだけで目指す場合
オーナーだけで目指す場合、先ほどの計算式ではトータルで売上の55%がオーナーの収入になります。月の収入額が29.1万円を超えるためには、月間売上高は53万円ほど必要です。
月の営業日数を24日と仮定すると、1日あたり2万〜2.5万円ほどの売上が必要となります。客単価や回転率を上げる、営業日を増やすなど工夫が必要でしょう。
従業員を雇い目指す場合
授業員を雇う場合は、先ほどの計算式では売上の20%がオーナーの収入です。月間売上は146万円必要です。月の営業日数が24日の場合、1日あたり6万〜6.5万円ほどの売上が必要となります。集客しやすい土日の営業をしたり、スタッフをうまく活用しながら営業したりする必要があるでしょう。
独立までにやることリスト
計画的に独立するためには、前準備がとても重要です。ここで、独立前の段階からどのような準備をするべきなのかを見ていきましょう。
やること①資金を貯める
本記事でご紹介してきたとおり、開業には物件や設備、広告などさまざまな面で費用がかかります。自己資金を貯めるのはもちろん、日本制作金融公庫や銀行などの融資を検討しておくことも大切です。
日本政策金融公庫では、個人事業主や小規模事業者に対して新規開業資金の融資を行っています。融資されたお金は開業のための準備をはじめ、事業開始後に必要となる設備資金や運転資金に使用できます。特徴は、比較的融資を受けやすく、金利が低いことです。
銀行などの金融機関からの融資も選択肢としてはありますが、融資額が自己資金額に左右される他、日本政策金融公庫と比べると金利が高い傾向があります。
自己資金の状況や開業後の運転資金も見据えながら、うまく活用するとよいでしょう。
出典:日本政策金融公庫「新規開業資金」
やること②独立に必要なスキルを高める
カットやカラーなど美容師としてのスキルを高めるのはもちろんですが、オーナーになる場合は経営や集客のことも学ばなければなりません。経営に関しては、売上や予約を効率的に管理するためにもある程度のパソコンスキルが必要です。
集客のためには、TwitterやInstagramといったSNSを活用したり、ホームページの作成を依頼したりと、興味を持ったお客さまに予約してもらえるような作戦を練ることが大切です。開業後につまずかないようにするためにも、前もって必要なスキルを高めておくとよいでしょう。
やること③開業のための書類を準備する
サロンを開業するためには、開業届や美容所開設届の提出が必要です。
開業届は税務署へ提出する書類です。提出すると、確定申告の際に青色申告が可能となり、材料費や給料などを経費として扱えます。開業届はさまざまな手続きで必要となりますが、提出後は本人への控えの送付がありません。後々困らないようにするために、提出前に自分で控えを取っておきましょう。
美容所開設届は、店舗を管轄する保健所に提出する書類です。その際に合わせて必要となるのが、設備概要や施設の平面図、美容師免許状、皮膚疾患の有無に関する診断書などです。
いずれの書類も窓口やホームページからダウンロード可能です。直前になって慌てなくて済むよう、事前に目を通してみてください。
出典:国税庁「[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続」
出典:新宿区「理容所・美容所の届出手続き」
まとめ
サロン勤務の平均年収額を基準に、サロンを独立経営した場合の年収もシミュレーションしました。人件費の有無によってもオーナーの年収は左右されるため、どのような規模で、どのくらいの年収を目指したいのかを事前にイメージしておくことが大切です。
オープンしたサロンを成功させるためにも、お金事情はしっかりと把握しておきましょう。